受付に着き、カードを渡した。
受付の壁には、小さいスペースがあった。
小さく軽く荷物は置ける荷物置き場だ。
黒川は鞄を置き、受付の人にカードを渡した。
受付の人はカードを受け取り、料金の確認をしていた。

「880円になります」

計算し終わり、料金を言った。
診察代だけで薬代や治療代は含まれていない。
ただ、『死の宣告』されるだけの料金で880円は安くないか………
もう少し高くてもいいと思う。
まるで自分の命は880円だと言われたような感覚を受けた。
黒川はため息をつき、財布から1000円を取りだし、受付に渡した。

「1000円お預かりします」

受付はレジから120円を取りだし、「120円のお返しです」と言い、黒川に渡した。
財布に小銭を入れると「保険書のお返しします」と言われた。
そういえば、渡したな………
黒川は受付で預けたことを思い出しながら、保険書を受け取った。
財布に保険書も入れ、鞄を持った。

「お大事に」

受付の人は優しそうな声で言った。

「どうも」

黒川は口を緩め、お礼を言った。
病院を出る間、警備員は黒川を見つめていた。
なるべく、目を合わせないようにして病院を出た。