「大丈夫だから。いざとなったら貯金下ろすし」


俺はそう言って麻衣ちゃんの手を抑えた。


「でも……」


「気持ちだけ受け取っておくよ。ありがとう」


「翔平さん……」


麻衣ちゃんは、潤んだ瞳で俺を見詰めた。


き、キスしちゃうか?


いやいや、まだ早いだろう。まして俺は、たぶん手が早いイメージだからな、ここは我慢我慢。


「さあ、歩こう?」


「はい」