終業時刻を少し過ぎ、俺が帰り支度をしていると武田がやって来た。


「そろそろ行けるか?」


「おお、今終わって帰るところだよ」


「片桐チーフ。すみませんが、お先に失礼します」


俺は鞄を手にすると、真剣な様子でパソコン操作をしている片桐チーフに、帰りの挨拶をした。


「ああ、もうそんな時間なのね。お疲れさま」


片桐チーフはパソコンから俺に視線を移すと、感情のない顔でそう言った。


昼飯の時の彼女とは、えらい違いだなあ……