「俺は麻衣ちゃん、いえ市川麻衣さんと……、別れました」


俺がそう言うと、片桐チーフは目を丸くした。


「どうして?」


「“どうして”? そんなの、決まってるじゃないですか!」


俺は腹が立ち、思わず大声を出してしまった。


「翔ちゃん、周りに迷惑だから、ね?」


片桐チーフは、シーという感じで人差し指を口に当てた。


「すみません。俺は彼女を裏切ってしまいました。他に子供を作りながら、平気な顔で彼女に接するなんて、出来るわけありませんから」