天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜

「しょ、翔平さん……?」


ピピピ、ピピピ


その時、KYで間抜けな電子音が、どこからか聞こえてきた。


「出してください」


「出す?」


麻衣ちゃんは俺に、何を出せというのだろう?


瞬時にあれやこれや考えていたら、


「体温計ですよ」

と言われた。


「あ、ああ、そうか……」


脇の下に差していた体温計を渡すと、麻衣ちゃんは看護士さんみたいな真剣な目でそれを見た。


「やっぱり、まだ熱がありますね。37度6分です」