天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜

「はい」と言って麻衣ちゃんは俺に携帯を渡してくれた。


「どこに?」


「床に落ちてた上着のポケットの中です」


「ああ、そうか……」


俺は部屋に入ると、服を脱ぎ捨ててベッドに倒れ込んだんだった……


見れば上着やスラックス、ワイシャツ、ネクタイなんかがきちんとハンガーに掛けられていた。


「ありがとう」


「どういたしまして」


俺は携帯の電源を入れながら、

「携帯の電源を落としたのは、電話やメールが出来ないくらい、体の具合が悪かったからさ……」


と言った。


本当は、体よりも心の方が重症だったんだけどね。