幻覚の麻衣ちゃんが、可愛い悲鳴を上げる幻聴が聞こえた。


「ありがとう。麻衣ちゃん、愛してるよ」


俺は幻覚の麻衣ちゃんを、この手でギュウッと抱きしめた。


すると、まるで実物の麻衣ちゃんを抱きしめたかのような、柔らかくて、温かい感触がした。


こういうのを何て言うのだろう……

“幻触”?

そんな言葉はないよなあ。


俺は“幻触”を堪能しながら、再び眠りに引き込まれていった。