女の子は、俺の上着の袖をしっかり掴んでいた。


ああ、この後俺は駅員に痴漢として突き出されるのか……

痴漢の無罪を証明するのは難しいという。
セクハラと同じで、女性に訴えられたらもう終わり。

会社はクビだろうな……

トホホ


人の流れを避けながら向かい合って立ち、女の子は俺に向かって盛んに何かを言っているが、俺には全く聞こえない。


何を言われようと、例え無駄になろうとも、自分が無実である事はしっかり主張しなければ……


そう考えながら俺は耳からイヤフォンを外した。