天然男の恋愛事情〜オフィスは恋の花盛り〜

「ねえ、どういう事?」


俺には柚子ちゃんの態度も、麻衣ちゃんの言葉の意味も、何もかもさっぱり分からなかった。


「翔平さんって、天然ですよね? 鈍感だし……」


ガーン


「それ、武田にも言われた」


麻衣ちゃんに嫌われたかなあ、と思ったが、


「でも、そういうところも好きですよ?」


と言ってもらえた。


「す、好きって?」


「あ、そういう性格は嫌いじゃない、っていう意味です」


麻衣ちゃんは、顔を真っ赤にしてそう言った。


しかしすぐに真剣な顔に戻ると、


「でも、気をつけてくださいね?」


と言った。


「うん、気をつけるよ」


と俺は言ったものの、何をどう気をつければいいのか、実は何もまるで分かっていなかった。