チャイムが鳴ったと同時にクラスの扉を開けると一斉に浴びる視線。


これだけは何度経験しても慣れない。


皆に挨拶をすると、女子の悲鳴に似た歓声が沸き上がった。


女ってどうしてこうなんだよ。


ちょっと顔が良かったらキャーキャー猿のように喚いて。


その時フと一人だけ俺の方を見ずに、窓の外に目を向けている女生徒がいた。


窓際の前から3番目。


目を閉じ、春風を感じている彼女の姿は、なんとも言えないくらい綺麗で、いつの間にか彼女に魅とれていた…。


座席表と出席簿を確認して彼女をもう一度見た。


「藤咲姫華か…。」


俺の呟きは生徒の話し声に紛れて消えていった。








数日後の放課後


藤咲が職員室に来て、日直日誌を届けにきた。


「あっ藤咲、今日はお前が日直か?」


『うん。』


「じゃあココにあるダンボール箱を資料室に運ぶの手伝ってくれ。」


『えっ…こんなに…。』


俺が指差した先にはダンボール箱が3つ置いてあった。