咲人は岡野の後ろ姿を見つめる姫華の姿を哀しみの色に滲む目で見つめた。


姫華の家で夕食を済ませたあと、李苑の部屋で男同士話し合う事にした。


「……。」


「……。」


沈黙が続く中、李苑が口を開いた。


「姫に彼氏だってね…。」


「あぁ…。」


「俺…あいつが彼氏なんて認めねぇ」


「あぁ…。」


「おいッ」


李苑は咲人に怒りを露にし、咲人に掴みかかった。


「なんとか言えよッお前このままで良いのか!?」


李苑は手を震わせながら咲人を睨んだ。


「俺は……。」


咲人は拳を握り締めた。


「俺は…あんな…姫の顔を見た事が無い…。」


咲人は先程見た岡野の後ろ姿を見つめる姫華を思い返していた。