「なぁ。」


『なに?』


「今日一緒に帰ってきた奴誰。」


『え…?』


俺は無意識に眉間を寄せていたらしい。


姫華が怪訝な顔をして俺を見ている事に気付いた。


俺は苛立ちを隠しながら、もう一度言った。


「一緒にいた男、誰?」


『えーっと…。』


姫華は言いにくいのか、下を向いて手をもじもじしている。




可愛い…。




じゃなくて、俺は怒ってんだ。


俺でも咲兄でもない俺と、手を繋いで一緒にいたことについて。


『りっちゃん、怒んない?』


「……………………怒らない。」


『なによその間ッ』


姫華はぷんぷんと腕を組んで怒った。


「怒らないから、あの男が誰か教えて。」


『分かったよ…。』


姫華は、はぁーと溜い息を零した。