李苑の中に醜い感情が沸き上がる。




「姫…。」




李苑の呟きは静寂な空気に虚しく消えていった。








夕飯の前に姫華の部屋に行った。




―コンコン


『はーい。』


「俺。」


『りっちゃん?ちょっと待ってね〜』




―ガチャ


『どうぞ〜』


姫華が俺を中に入れた途端、俺は姫華を抱きしめた。


『わっ、りっちゃん?』


「姫…。」


姫華の甘い匂い…。


それと共に他の男の匂いもする…。


俺はギュッと抱きしめる力を強くした。




『りっちゃん…苦しいよ。』


姫華は俺の腕の中で苦しそうにもがいた。


俺は姫華をゆっくり離すと、姫華の頭に手を置いた。