―李苑side―


俺は恵蘭高校の姉妹校、粋蘭中学(スイラン)に通っている中学3年生だ。




俺は従姉弟の姫華が小さい頃から好きだ。




俺が幼い頃は姫華の後をヒヨコのように付いていっていたが、すぐに姫華の背を抜かした。




俺より年上なのに、危なかっしくて、小さくて守ってあげたい奴だ。




俺が小5の時、姫華の両親が交通事故で亡くなった。




相手は飲酒運転による不慮の事故だった。




姫華の両親の葬式の時に見た姫華の姿は見ていて痛々しかった。
いつも笑顔が堪えなかった姫華が、死んだ目をして両親の棺を見つめていた。




自分を責め、家に引きこもり、姫華自身はリストカットを繰り返していた。




姫華の左手首に刻まれたリストカットの痕は、切り過ぎで黒くなっていた。




何度も咲兄と幸姉と俺が姫華の家に足を運び、精神安定剤を飲ませたり、常に一緒にいるようにした。




半年後、俺の両親が話し合い、姫華を養女として迎え入れることにした。




姫華は最初“叔母さん”“叔父さん”と呼んでたけれど、姫華が誕生日を迎えた頃、姫華は“お義母さん”“お義父さん”と呼ぶようになった。




俺の両親が姫華に沢山の愛情を降り注ぎ、元通り明るい姫華に戻った。