日差しが窓から入り込む。




お昼休みだから生徒が行き交う。




前を歩く笠原は長身で後ろ姿もカッコイイと思う。




男の俺から見ても理想の容姿だ。




通り掛かる女生徒達は目をハートにして笠原を見つめている。




そんな事も気にもとめず、堂々と歩く笠原は大人の男性だ。







笠原が空き教室をガラッと開け、中に入った。




俺も後に続く。




笠原は窓を開けて、椅子を引き、座った。




長い脚を組み、タバコに火をつけて口に咥えた。




「お前も座れ。」




煙りを吐き出し、タバコで椅子を指した。




俺は椅子をひき、ゆっくり座った。




笠原はまたタバコを口に咥え、タバコの箱を胸ポケットにしまい、また腕を組んだ。




「なんで呼ばれたか分かるか?」


「……いえ。」


「はぁ~……。」


「……。」




なんで呼ばれたかなんて分かるわけがない。




成績か?




進路か?




部活か?




思いあたることがありすぎる。




「お前を呼んだのは姫華のことだ。」


「え……?」




いま…




姫華って言ったか…?




なんで……。




「お前ら喧嘩してんのか?」


「俺らのこと知って…」


「あぁ。付き合ってんだろ?」





そういえば、姫華は笠原の助手をしているって聞いた。




もしかして姫華から聞いたのかもしれない。




笠原は窓の外に目を向け、窓枠に手を置いた。




「お前さ、付き合ってんのに姫華の事なんも知らねーだろ。」


「え……?」