−*初カレ*−

「姫……どうした?」


『……。』




胸が締め付けられて……痛い……。




「なにがあったんだ?」


『……。』


私は答えなかった。




口にするのが怖くて




現実だと思いたくなくて




私はキュッと咲ちゃんの服を握った。




何も答えない姫華に何かを感じたのか、咲人は姫華を優しく抱き留めた。




静かに嗚咽を漏らしながら涙を流す姫華。




涙が枯れるまで、咲ちゃんは私の背中をさすっててくれた。




その間に携帯がずっと震えていたのを知らずに。











『はぁ……。』


私はお風呂の浴槽に浸かり、溜め息を零した。




あの後、1時間くらい咲人に抱きしめてもらい、落ち着いてからカラオケ店を後にして、家まで送ってってもらった。




はぁー…咲ちゃんに甘えてばっかだな…。




幼なじみだからっていつまでも甘えてたら咲ちゃんも迷惑だよね……。




そういえば咲ちゃん、なんで彼女作らないんだろ。




モテるのに。




私は何度目か分からない溜め息を零し、お風呂から上がった。




自室に戻り、携帯を確認すると




着信:30件
メール:10件




全て優哉だった……。




メールの内容は




“今何処だ?”
“話がしたい”
“電話出てくれ”




ほとんど同じ内容。