「なぁ。」


『なに?』


「なんで俺達こんな事やってんの?」


『いいからッ』




姫華と咲人は今、草むらに隠れている。




なんかこのシチュエーション、前にもあったような?




私はキャスケットを被って髪を全部帽子に入れ、赤縁眼鏡をかけている。




そして、白のシャツに黒のネクタイ、赤チェックのハーフパンツを履いたちょっとボーイッシュな格好をしている。




咲人はサングラスをかけ、ピアスを沢山付け、Tシャツにデニムパンツとラフな格好をしている。




ちょっとチャラ男に見える…。




一応変装だ。




端から見たら小さな男の子とチャラ男……異様な2人だ。




視線の先はマイベストフレンド・幸江




そしてその隣にいる秀樹。




今日は記念すべき2人の初デートなのだ。




私はさっちゃんに内緒で2人のデートを見守ることにした。




でも1人じゃ心細かったので、咲ちゃんを呼んだ。




『あっ映画館に入ったよ!!』


「はぁ…。」


『えーっと…“日本の中心で愛を叫ぶ”を見るみたいだよ!!』


私は立ち上がり、周りを見渡してから咲人の腕を引っ張って映画館の中に入った。