−*初カレ*−

帰り道、朝通った橋を通りかかり『あっ』と思い出した。




橋の下に下りるとやっぱりまだあった。




段ボールの中にいる子猫。




私が朝包んでおいたタオルをめくると「キシャーッ」と逆毛を立て、威嚇してきた。




やっぱり人間が怖いのかな……。




でもこのままだとこの子……死んじゃう……。




そんなの嫌ッ




私は段ボール箱を持ち上げ、雨に濡れながらも、威嚇する子猫を宥めながら家路についた。






『ただいま〜』


パタパタ…




「お帰りなさ〜い。」


お義母さんがエプロンを付けたまま駆け寄ってきた。




「あら、その段ボールどうしたの?」


『えっと…実は……』


私はタオルをそっとめくった。




「ニャー…」


「あらっ!!」


『橋の下に捨てられていたから……拾って来ちゃった。』


私は『あはは…』と空笑いしながら子猫が見えるようにタオルを全部めくった。




「この子…かなり弱ってるわね…。」


『うん…だからお湯で洗ってあげてから餌をあげようと思う。』


「そうしてあげて。今からお湯用意するから。」


『ありがとう。』




お義母さんはお風呂場へ行ったので、私は靴を脱ぎ、子猫をそっとタオル越しに抱き上げた。