―優哉side―


俺は恵蘭高校に入ってからある女の子に一目惚れをした｡




その子の名前は藤咲姫華さん｡




漆黒の長い髪に大きな瞳､薔薇色の頬にぷっくりとした唇｡




背は小さくて小柄な彼女はまるで人形みたいだった｡




彼女は皆に優しく､明るい性格で男女問わず人気があった｡




俺は同じクラスで一度だけ話したことがある｡




君は覚えていないだろうけれど｡




バスケの練習で足を捻挫した時､一人で足を引きずりながら保健室に向かって行った時のこと――……




『大丈夫？足挫いてるの？』


「あぁ…｡」


顔を上げると憂色の顔をした藤咲姫華の姿があった｡


『保健室行くんでしょ？私保健委員だから保健室まで肩貸してあげる!!』


彼女は小さな身体を張って俺に言ってきた｡


俺は想いを寄せている彼女が目の前にいることで､少々戸惑っていたが､彼女が急かすので仕方なく肩を借りることにした｡