−*初カレ*−

「せんせー顔怖いよぉー?どうしたのぉー?」


「あ?なんでもねぇー…。」




宏介は睨んでいたことに言われてから気付き、姫華達が去っていったドアをいつまでも見つめていた。






――――…
――――――…




姫華と優哉は手を繋ぎながら帰り道を歩いていた。




「これから俺ん家に来ないか?」


『え?優哉くんち?』


「あぁ、昨日母さんに彼女がいるのバレてさ…連れてきてって煩くて…。」


優哉は昨日の事を思い出したのか苦笑した。




『優哉くんのご両親…。』




どうしよう…。




『私、手土産とか何も持ってきてない…。』


「あぁ、急だったから別に平気だよ。」




でも…何も持っていかないとか失礼じゃない?




どうしよう…厳格な人だったら…。




「あぁー…大丈夫だよ、緊張しなくて。」


優哉は姫華が緊張しないように笑顔で諭しているが、姫華の胸は緊張でずっとドキドキと煩かった。








しばらく歩いてるとF町2番地に入った。




一軒家が建ち並び、たまに犬や猫の鳴き声が聞こえる。