他人の私が口出すことじゃない。


ずかずかと相手の領域に入っちゃいけない。


私には関係ない。


距離を縮めちゃ駄目。


壁を崩しちゃ駄目なんだ。


お箸を持ち食事を再開。


うん。



「美味しー」



顔をしかめて向かいに座っていた泉さんの顔がゆるんだ。



「奈緒ちゃん」


「ん?」


「デザート食べる?」


「はい」



即答した私に、にっこり笑いキッチンに消えていった。



「奈緒ちゃーん」


「はーい」


「今度一緒に料理しよー」


「……」



嬉しかった。


私が何を言いたかった分かってくれたことも。


でも、私が言えないって察してくれたことも。


あえて遠まわしで言ってくれたことも。


一緒に料理しようって言ってくれたことも。


次があるってことも。