医師達が
何とか蘇生させようとしたが
神田川の心臓は停まったままで
死亡が確認された。



「午後二十一時三十分。御臨終です」



親子だと分かったその日に
父、神田川太郎は死んだ。



最後まで店の事を何とかしたいと
言っていた神田川。
そんな父、オーナーの言葉を
まともに聞かずに
別れてしまった夜月。



医師の後に
夜月も病室から出て来ると
朱里が心配そうに
声をかけてきた。



「夜月くん、オーナーさんは?」



「……………死んだ」



無表情のまま
夜月は低い声で答える。



「え!」



夜月は重い足取りで
廊下を一人歩いて行く。
その後を朱里もついて行こうとしたが
黒田に肩を掴まれて
足が止まってしまった。



「君は今、側に行かない方がいい」



「………」



「今、彼はオーナーを失ったショックで困惑している状態なんだ。だからしばらくの間そっとしておいた方がいい」



「………夜…月くん…」