「お前がいるのに続けられない」



「え…何…を?」



「今の仕事」



「………」



「朱里はどう思う?俺がホストを辞めるって言ったら」



「あたし……」



上手く言葉に出来ない朱里は俯く。
本当は嬉しいはずなのに。



「やっぱ…ホストしてる男なんて駄目だよな」



「…駄目じゃないよ」



「単にオーナーに声掛けられたからホストになっただけだから」



「………駄目じゃないけど…」



「何だ?」



「本当は…本当はあたし不安なの凄く。夜月くんは知らない所で別の女の人と一緒だって考えるだけで不安になる」



その言葉を聞いた途端、夜月は
朱里の事を抱き締めて言った。



「それもっと早く聞きたかった」



「え…」



「お前、何だかよそよそしくて今まで俺に本音で何か言ったりした事なかったろ」



「………」



「ずっと朱里の気持ちが知りたかった。これできっぱりホストを辞められるな」



「辞めちゃうの?」



「辞めても次の仕事は決めてある」



「何の仕事?」



「ケンの店で雇ってもらう」



「そうなんだ…」



「これからは自由な時間が増えるからお前ともゆっくり会える」



「うん…」



朱里が微笑むと
夜月はキスをする。



前以上に距離が近付いた気がした二人だった。



それから数分後。



「今日は俺の側にいろ。帰す気がしない」



「………」



「ずっと側に…」



「うん」



「一緒に暮らさないか?もう離れたくない」


「いいの?」



「嫌だって言っても離さない」