リビングに入ってすぐの
テーブルの上には
何本かの酒、完全に氷が溶けてしまった入れ物、飲みかけた酒の
グラスと灰皿が満杯になって
二、三本こぼれ落ちてしまっている
煙草の吸い殻があった。



この状態を見て
夜月はちゃんと食べているのだろうか?と朱里は思った。



見た感じテーブルの側にある
ソファには脱ぎっぱなしの
衣類があって
多分テーブルの上に置いてあった
酒や煙草の吸い殻は何日か
そのままにされている物で
今日置かれた物ではないと
部屋の状況を見れば何となく分かる。



食事はどうしているのか?
一人暮らしの男の人の場合
大体外で済ます方が多いのだが
夜月は平気で食事を抜いたりして
酒を飲む方が多い。
ホストなら店で食べたりもするが
やはり酒がメインとなる。



色々考えている内にもう一つの
部屋のドアが見えてきた。



しかし、夜月の姿はない。



どこに居るのだろうか?
朱里は呼んでみた。



「夜月くんいるの?」



だが何の返事もない。



仕方ないから
他の部屋も探す事にした。
少し入り辛い寝室も覗いてみるが
誰もいない。



もしかしてベランダにいるのかもしれないと思った朱里は
リビングから
ベランダに出てみる事にした。



ガラス戸に近付くとそこには
夜月がいた。



やっと見つけたと
ガラス戸を開け様とした瞬間
夜月は後ろを振り返り
朱里がいる事に気付き
無言のまま「来い」と言った。