さっき夜月が飲ませた酒には
睡眠薬が入っていて
それを知らずに
アリスは飲んでしまったのだ。



シャワー室へ行ったはずの
夜月だが髪は濡れてなく服も
ここに来た時のまま。



多少服が濡れているのは
アリスの薬が効くまでの間
シャワーを浴びている振りをして
シャワーの蛇口を捻って
その際に濡れたからである。



何も知らずに
すやすや眠っているアリスを
夜月は抱き上げベッドに寝せた。



「これだから馬鹿な女は嫌いだ」



コートを着てサングラスをかけてから
夜月はホテルを後にする。



睡眠薬を入手したのは
客の中の薬剤師に
「眠りが浅くて仕事に差し支える」などと言って特別に貰ったからであり
夜月はまだ飲んだ事がないが
自身いずれは使うつもりだった。