一度だけの客かと思った
ホステスのアリスは
二日後にまた店にやって来て
夜月を指名してきたのだ。



「またかよ」



嫌気が差していた夜月だが
仕方なく相手をする事にして
席へ行く。



「よぉ」



「夜月さんに会いたくてまた来ちゃった」



「そうか…」



アリスは前回より
少し安めの酒を頼み
そして今回は
フルーツの盛り合わせも頼んだ。



それから夜月にプレゼントまで
持ってきて渡した。



「これ夜月さんにプレゼントよ。絶対似合うと思って」



包みを開けて中身を見ると
高級な腕時計が入っていた。



「時計か…」



「気に入ってくれた?」



「ああ」



「良かった。この腕時計は特注で中々手に入らないの。だから世界で数個しか存在しないんだって」



「ふーん」



「ねぇ他には欲しい物ない?私が買ってあげる!」



「別にねーよ」



「何でもいいのよ。言ってよ」



何でもいいという言葉に
夜月は不適な笑みを浮かべながら
煙草をくわえると
アリスは慣れた手つきで
テーブルの上に置いてあった
ライターで煙草に火をつける。



「欲しいモノねぇ…そうだな…」



言いながら夜月は
アリスの目を見つめた。



「夜月さん…?」



「……お前がいい…」



「え……!?」



閉店後。夜月とアリスは
ホテル街の中へ行き
とあるホテルに入る。