「俺、何か飲みてぇな」



「いいわよ。じゃこのお店で一番高いのを頼もうかなぁ」



「別に無理に高いの頼まなくてもいいぜ」



「無理じゃないわ」



「あ、そう」



呆れた返事をして
夜月は横目で聖夜にサインを送る。
少ししてすぐに
最高級のシャンパンが出てきた。



「どうぞ、夜月さん」



聖夜が来た時
夜月は耳元で何かを言う。



「このグラス飲み終わる頃、適当な言い訳つけて俺の事呼びに来てくれ」



「はい」



それから夜月は早いペースで
シャンパンを飲み出した。



「ねぇ夜月さん。今度、私とお食事して下さい」



「気が向いたらな」



「おねがい」



「はいはい」



その時、ホステスのアリスの話を
邪魔するかの様に聖夜が
同期の拓人(タクト)を連れて来て
夜月に言った。



「夜月さん、ご指名です」



「………ああ」



夜月が立ち上がると
アリスが切なそうな顔をしながら
引き止め様とする。



「もう行っちゃうのぉ?ちょっとしか話してないのに」



「悪いな。指名が入っちゃってさそれじゃまた」



「もぉ…」



「俺に会いたいならまた来い。相手になってやる」



「分かったわ。じゃまたね」



夜月は席を立ち、アリスの席には
聖夜が連れてきた拓人が座って
アリスの相手を始めた。