注文を済ませて
料理を待っている間に
朱里は思い切って
さっきの事を聞いてみる事にした。



「あの、夜月くん……」



「何だ?」



「夜月くんの苗字って高西っていうんだね」



「ああ、高西は俺の本名の方だ。夜月って名前は仕事で名乗っているだけで本名じゃない」



「じゃ本名は…?」



「高西康平っていう普通の名前」



話をしていると
店員がワインを持って来て
二人は乾杯する事にした。



それから少しして
料理の方も運ばれて来て
ディナーを楽しむ二人。



後はデザートが運ばれて来るのを待つだけだった。



その前に朱里は少し席を外すと
夜月に断り、化粧室へ行く。



軽くメイクを直して
すぐ席に戻ろうとしたのだが
途中の通路で見覚えのある人物を見掛けて、朱里は足を止めた。