ある夜の事だった。



夜月と聖夜は一緒に
街中の裏通りを歩いていると
酔っ払いのサラリーマン風の男達の一人に夜月はぶつかった。



実際は酔っ払いの男の体が
ふらついていた所に
偶然その場を通りかかったからだ。



ぶつかられた夜月は
全く気にも止めず相変わらず
強面な顔付きで歩き続ける。



すると後ろから怒鳴りつけてくる男が
夜月の方へ向かって来た。



「おいっどこ見て歩いてんだ！」



その声を聞いた夜月は
ゆっくりと振り返って相手の男を見る。



「………」



ただ男を見返す夜月の目付きが
恐くて一瞬怯んだ顔を見せたが
男は寄った勢いに任せて
突っ掛かって来た。



「その態度は何だ！謝りもしないでよぉ」



「あ？」



夜月は眉間に軽く皺を寄せて聞き返す。その殺気立った顔を見た連れの
聖夜は止めにかかる。



「夜月さん！こんな奴、相手にしなくてもいいっスよ。ただのバカなんスから」



聖夜は今にも相手の男に掴みかかりそうな夜月に言う。しかし、聖夜の言葉は泥酔した男に水を差し余計興奮させたのだった。