それから数分後。



夜月と朱里は
とあるバーに来ていた。



このバーは夜月がホストを始めてから
来る様になり
今では馴染みの店である。



店内はそれなりに良い雰囲気で
恋人同士で来る客が多い。



だが夜月は今まで誰一人として
女を連れて行った事がなかった。



「夜月くんが女の子を連れて来たのは始めてだな。もしかして彼女か?」



「別にいいだろ」



ふと見せた夜月の笑顔。
朱里はその笑みに
ドキッとしてしまった。



(「夜月くんってこんな笑い方するんだ。少し恐いってイメージだったのに何だか不思議…」)



「朱里は何飲む?」



「え、あ…あたし…お酒余り得意じゃないから」



「だったら…アレにするか。ケン俺はいつもので彼女のは例のカクテルを頼む」



「了解。ちょっと待ってな」



注文するとバーテンダーである
ケンは酒を作り始める。
それを見た朱里は聞く。



「あの…夜月くん、例のカクテルって何?」



「アルコールが苦手でも飲みやすいカクテルだ」