「……何なんだアイツは」



夜月は苛立っていたが
朱里は晴海がこの場を去る前に
涙ぐんでいた様に見えて
少し気にかかった。



(「亡くなった姉があたしに似ていた?そんな事あるんだ……」)



今の騒ぎがおさまると
周りは元の状態を取り戻す。



晴海はあれから戻って来ないが
夜月と朱里は席に少し会話をしながら
酒を飲んでいた。



だがさっきの後で
上手く会話も弾まない。



「何かここだと落ち着いて話も出来ないよな」



「………」



「ここ出るか…」



「でも夜月くん、仕事中でしょ」



「平気だ。あんなにホストがいるんだ。俺が抜けたくらい大した事ない。それに今夜は気分が乗らない」



「でもあたし…」