夜月は必要な物を手に取り
部屋から出て行こうと
ドアの方へ行くと
莉乃が駆け寄って来て言う。



「ねぇお願いっ私を捨てないで」



「しつこい女だな!」



「………じゃ最後に…最後に聞いていい」



「何だよ」



「私の事が嫌いになったの?それとも他に好きな人が出来たの?別れるならそれくらい答えてくれてもいいでしょ」



すると夜月は
後ろを振り向きもせずに
答えてマンションを去った。



「嫌いになった」



そのはっきりとした答えを聞いてしまった莉乃はショックで
涙を流しながら無意識のまま
キッチンへと歩き出した。



そして、引き出しに入っていた
果物ナイフを取り出し
自分の手首に向ける。