でも、たしかにそこは――
てゆーかそこもサロンだった。


なぜなら部屋の右半分は
大きな鏡の前に椅子、
傍にはシャンプー台も
あって、まさしくサロンの
様相だったから。



――そして、その鏡越しに。



椅子に座った玲斗が、あの
整った顔であたしを見てる。



「ちょっと遅いね。

ちゃんと必死に急いで来た?」



凛と通る声で尊大に
言ってから、クルッと
こっちを振り返った。



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