《完》天使の微熱 〜アクマなアイドル〜

って、玲斗……ただ片手を
差し出してるようにしか
見えないんだけど。



「受け取って」



その声に、やっとあたしは
玲斗がその掌の中に何かを
隠し持ってるんだって気づく。



おずおずと右手を出すと、
玲斗はその手を握り込む
ようにして、あたしの掌に
何かを乗せた。



「これ―――…!?」



掌に残された硬質な感触。



それは―――折れそうな
ほど細いチェーンの先に
かわいい鍵のモチーフが
ついた、ネックレス。



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