どのみち眠れはしない
だろうが、あのホテルの
方がまだ過ごしやすい気が
してそう頼んだのだが……。



「ホテルって――…」



映紀は少しだけ眉を
ひそめて口ごもった。



言うべきかどうかしばらく
迷ったようだが、やがて
思い切った様子で、



「最近ちょっと回数が
多いんじゃないかな。

あまり頻繁に出入りすると
マスコミに気づきかれないよ」



映紀の言わんとしている
ことはすぐに理解できた。



けれど、今夜に限っては
それは誤解だ。



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