《三条玲斗》は間違いなく
勝ち組だと、世間の誰もが
思っているだろう。



だけど、本当は――…。





……いつからだろう。

癒えないこの渇きを覚える
ようになったのは。



足りないものなんてない
はずなのに、満たされない。


そんな虚無感にさいなま
れるようになったのは。




「――玲斗?

どうしたんだい、ドアも
閉めないで」



突然の声にハッと振り
返ると、いつの間にか
背後にマネージャーの
映紀が立っていた。



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