知らず知らずのうちに
爪痕がつきそうなくらい
強く拳を握りしめてた。



―――悔しい。



どうして玲斗にそこまで
言われなきゃいけないのよ。



玲斗の演技力が抜群で、
周りにもすごく評価され
てるのはわかってる。



でも、あたしは知ってるのよ。
あんたの本性を。



「玲斗だって……
嘘ばっかりじゃない……!」



優しい笑顔も、恋に悩む表情も。



まっすぐに“あたし”を
見て『好きだ』って言った
あの真摯な瞳だって、
全部、全部。



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