《完》天使の微熱 〜アクマなアイドル〜

あたしがスタジオに入って
すぐに、玲斗もやって来た。



……あの夜以来、初めて会う。



「おはよう、陽菜。よろしく」



「……よろしくお願いします」



涼しい顔した玲斗の様子は
いつもどおりで、この間の
ことなんてまるでなかった
かのような態度だったけど。



(……今は気にしない。

むしろそれでいいんだ。

今のあたしは、玲斗に
片思いする女のコなんだから)



台本を握る手に力を込めて
あたしは最後の気合いを入れた。



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