気付けば 思考よりも先に動き出す体。 そんなんだからあの日が起きた。 非難する頭の中なんてまるで無視で、 いつもはまず "見定め"していたはずのあたしの体が 驚くほど早く反応する。 水色の川の真ん中で、 "あの日"と同じくらいの小さな子供が 流されてゆく。 思ったよりも流れが速い。 それを確認しながら、 転げるように 川への斜面を駆け降りる。 『助けてぇ…っ!』 弱々しくなってゆく声にひやひやしながら、 あたしは上着を素早く脱ぎ そのまま川へ飛び込んだ。