「これは氷を入れて飲むためのグラス。ロックグラス、とか、オールドファッションドグラスっていう」 「ふうん。けっこう、重いね、それ」 「グラスの安定がいいように、と、あ。マドラーが当たっても大丈夫なように、丈夫にできてるらしい」 グラスを、コン、と長細いキッチンに置くと、薄っぺらい、小さなまな板を取り出した。 それと、包丁と、丸ごと一個のレモンも。 でかいヒデタダは、必然的に、背を曲げて、レモンを切る。 何だか、似合わない。 おかしくなって、だけど、笑わないように耐えていた。 なのに、