静かにしっかりと答えた舞は、それ以上何も教えてくれないような気がした。


舞は黙りこんだ私の手を握ると、そのまま腕をひき、立ち上がらせた。


「ほら、もう戻らないと。柏原くんに怒られちゃうよ。」


部活の練習がある和樹とは途中で別れて、舞に手をひかれながら教室に戻った私は、作業をしながらもずっと二人の言葉を考えていた。


気づいてあげてって、一体何に…?


話の流れでは、きっと相川くんのこと。


教室を見渡しても相川くんの姿はない。

会議に行ってるんだろうな、と思いつつ


相川くんのいない教室は、


ほんの少し、ほんの少しだけ



寂しく感じた。