「“ほらそうやってまた逃げる”でしょ?」

そういう顔してるもん。

「逃げさせてよ」

「先ぱ……」

「もがくことすら許されなかったのだから……」

「璃子先輩!」

両肩をガシッと掴まれた。

え?え??何事。

「好きです」

「知ってる」

「付き合いたいんです」

「それも知ってる」

「分かりたいんです、先輩のこと」

それは、知らない。

「ちゃんと理解して……それでもってちゃんと好きでいたいんです」

『よく知ればいいんですね?』

出会ったばかりの柴は確かそう言った。
ガードの堅かった私にここまでズカズカと入り込んできて……居座った。

「本当にアンタまじ意味わかんない」

「本当とまじって意味合い一緒ですよ」

知ってるわバカ。

だけどさ、何この安堵感。
まじで意味不明なんだってば。

気のせい、でも
一時の気の迷い、でも
片づけられなくなった。