―前に駆けていく貴方が、振り返る事はできないから。


当たり前のことを胸痛く受け止めるわ―






『こりゃ困ったね~。
馬が電車に恋しちゃうってやつ?』
「どんな例えだよ、」
凱(がい)は同僚を窘めると、もう一度鞄中の書類を確認する。
そして、身支度を始めた。