追い風はきらめいている



ふかやくんの最後の大会の結果は、やっぱり新学期に知ることになった。

大あくびかましながら参加した始業式でいきなりふかやくんの名前が呼ばれたから、いっきに目が覚めた。


ふかや・なおき

というらしい。


フルネームを聞いてみたらなんとなく知ってる響きで、そりゃ同級生なんだからどっかで耳にしたことくらいあるよね、と情けない気持ちになる。


ふと、まっすぐな影が隣の5組の列から立ち上がった。

ななめ後ろのここからじゃふかやくんの顔は見えないけど、ずっと目でストーキングしてきたからいま彼がどんな表情をしているのかなんてだいたい想像がつくよ。

いつものねむたそうな目はきっとあんまり開いていなくて、色の薄いくちびるはきゅっと結ばれたままで。
きっとそう。

ふかやくんはどういうとき、目を細めて笑うんだろう。
どういうとき、声を上げて泣くんだろう。


校長先生がいつもより3トーンくらい高い声を出してはりきって表彰状を読み上げている。

ふかやくんはというと、いつも通り背筋をぴんと伸ばして、いつも通りかわいい寝ぐせを頭にぴょこぴょこくっつけている。

あんまりかっこよくてかわいい後ろ姿に夢中になっていたから、校長先生がえらく強調して言ってくれた『優勝』という言葉さえ、ぽろっと聞き逃してしまいそうになったよ。