追い風はきらめいている



放課後はだいたいグラウンドのよく見渡せる空き教室で、いつまでも走っているふかやくんを、いつまでも眺めている。


空の青と、土の赤。そして、そのあいだにいるふかやくん。
何時間見ていても飽きないこの景色を、わたしはいつまでこうして見ていられるんだろう?

体にじわりと汗がにじんで夏の訪れを感じたとき、ふとそんなことを思った。

陸上のことぜんぜんわからないけど、ほかの部活と同じに、きっとふかやくんもこの夏で引退しちゃうんだろうな。


コースもラインもないだだっ広いグラウンドで、野球部とかサッカー部をよけながら淡々と走るふかやくんはほんとに素敵だ。

だけど一度でいいから、競技場を走るふかやくんを見てみたかった。

そんなことを言う度胸も、そんなことをする勇気も、わたしにはないけれど。


だからせめて、ずっとここから見ていたいよ。

青と赤とふかやくん、ここから見える景色を切り取って、丁寧に額縁に入れたら、心のいちばん奥にずっと飾っておくんだ。

誰にも見せられないし、誰にも見られたくない。


だからずっとひそかに応援してる。
勝手に元気さえもらっちゃってる。

一生伝わらなくていいから、この不毛な気持ちがいつかどこかでふかやくんを救うなにかに変わってくれたらいいなって、恥ずかしいことをけっこう本気で思った。