ラストイニング〜重ねるイニングの行く先〜

「じゃ、そろそろ私帰るわ。」。

駒野はベッド脇の椅子から立ち上がった。

「知恵、ごめんね。つい興奮しちゃって。」。

奈月はベッドから出て立った。

「仕方ないじゃない?憧れの人が甲子園で投げたんだもん。」。

駒野の悪戯っぽい笑みに、ひじ鉄を喰らわした奈月は、

「そんなんじゃない…。でもずっと探していた恩人をテレビで見るなんてびっくりしたぁ〜。」。

まだ興奮覚めやらぬだった。