「莢乃ちゃん・・・私まだお母さんには・・・」
「でもお父さんは、ずっとお母さんが起きるのを待っていました。
白雪姫とかのようにキスをしても起きないお母さんをずっと・・・待ってました!」
私は自分の唇を、右の人差し指で触れた。
ファーストキスだかなんだか分からない。
眠っている間のキス・・・。
「怒るに、怒れないじゃん」
「爽香?」
奏の言葉も耳に入ってこない。
でもそんな中、莢乃ちゃんの声だけが届いた。
「莢乃ね・・・ずっと聞かされてました。
お母さんは笑うと可愛くて、やさしくて、
きっと莢乃のママより、素敵に思うようになるよって・・・
お父さんが言ってくれたんです!」

