「事故に遭ってからずっと病院に来てたんだ・・・ 見かねた看護士さんが・・・起きたら教えてくれるって言ってくれてな」 心配していてくれたんだ。 嬉しい。 「ありがとう奏ちゃん」 「だからちゃんは止めろっての!」 「はぁはーん。 照れてんだな・・・!」 ふたりで笑いあっていると 爽也は鞄を持って ドアに手をかけた。 「莢乃はお前が母親になる事を望んでる。 明日・・・婚姻届持ってくるから」 ーバッン 静かに閉まったはずなのに 重々しい空気の中 音だけが嫌に響いた。