正典さんは、普通ならこの世にいない。


それでも、今現実に私の隣にいる。


私は、それだけでいいと思った。


正典さんは、正典さんだから、私が一緒にいたいと思ったから。


「そろそろ帰らないと、家の人心配するね?」


そう言われて私は、ポケットに入れていた携帯を取り出し時間を確かめた。


「11時かぁ……」


いつの間にか、もうこんな時間。


今日も、終わろうとしている。


「明日、何時に何処で待ち合わせ?」


ふと、気になることを聞いてみた。


そろそろ、本当に帰らないといけないから、確認しないとね。


すると、正典さんは少しだけ考えてから『じゃ、夕方の6時に、ここで』と笑顔で言う。


「ここね?
うん。わかった!」


そう確認した私はブランコから立ち上がり、うーんと伸びをした。


その後、正典さんにお別れを言って公園を後にした。


ふと気になって途中後ろを振り替えった。

正典さんは、ずっと手をふっていてくれて、私の体は寒いのに心だけは暖まる感じていた。


家路を急ぐ私。


明日を、待ち遠しく思いながら―――。