「…また、あの夢か…」




真っ暗な部屋に、荒い呼吸音が小玉する。


そっと自分の頬を冷え切った指で触ると冷たい滴が、頬を伝う感触が指に残る。


あの夢を見て目を覚ますと、いつもこうだった。

どうしてかなんて知らない。


ただ、胸が苦しい。



「…誰なんだろう?」


夢の中の人達は、顔は見えない。


いつも見えるのは、真っ白く積もっている雪だけ。


なのに何故もこう辛く悲しいのか。

………わからない。




「……はぁ。寝よう」



私は、考えるのを止めてまた眠りにつく事にした。